横文字となると文盲も同然のあっしでも、ありがてえもので写真や絵図なら見て見えねえことはありやせん。毛唐の姉ちゃんの尻なんざあ昨今めずらしくもねえが、やはり国が違えば頭の中身がちと変わる、ちいと変わった冊子をいくらか御紹介しやしょう。
  というわけで『Mug Shots』すなわち『容疑者写真』。タイトルどおり、トラブルを起こしたアメリカの著名人士が逮捕時に撮られた写真を集めたものである。すると、いるわいるわレニー・ブルース（皮下注射針の所持）、デニス・ホッパー（危険走行、事故の報告を怠る）などのいかにもな不良オヤジどもはいわずもがな、ハリウッドからは妻を虐待したミッキー・ローク（やっぱりね）、飲酒運転で捕まった間抜けなキアヌ・リーヴス、第一級殺人容疑者O・J・シンプソンが名乗りを挙げれば、ウーマンリヴの闘士でもあるジェーン・フォンダがAssault and bettery暴行殴打で闘士ぶりを発揮する。罪状では拳銃不法所持が多く、アル・パチーノ、ジェイムズ・ブラウン（実にハマコーに似ている）と、ジェリー・リー・ルイス（ビートたけしに似ている？）と多士済々。
　スポーツ界では大リーガー、ホセ・カンセコのスピード違反、バスケのチャールズ・バークレーの暴行なんてのはまだいいが（？）、トーニャ・ハーディング、マイク・タイソン（一言「Rape」と記されている）は貫禄ありすぎ。    
　ミュージシャンの場合、いかに官憲から目の敵にされていたかがうかがえる。ジム・モリソンは治安妨害に問われ、ジャニス・ジョップリンにいたっては「野卑で猥らな発言をしたこと」などという曖昧な罪状で挙げられているのだ。第二級殺人罪に問われたJohn Simon Ritchieことシド・ヴィシャスの姿も見られ、オールド・ファン必見といえよう。
  とハマると結構延々と楽しめるこの小冊子だが、筆者George Seminaraも一癖ありそうなおっさん。スタントマンや玩具デザイナーなどを経て、ラモーンズやビッグ・オーディオ・ダイナマイトのヴィデオ監督を務めた、という謎の略歴の持ち主である。（以下、Curious G第１号に続く）