おっぱいよ二つあっても淋しいか

虹消えてまた出てそれで消えるまで

ロータリー横断したし雷雨前

雪豹に肩まで呑み込まれて涼し

蛇口から手首をつかむ寒き舌

溺死する夢の肺まで秋の月

幽霊となつて起きればいつも雨

南瓜煮るわかってくれとか言いたいが

真新しいねむけが落ちている舗道

夕立に撃たれっぱなし猿踊る

不発弾一個バスから降りるところ

傘折れてプールサイドを二度回る

身の程を知れと案山子よそれは無理

自分が好きかとひとに問われる餅は好き

憎い奴パセリ残らず投げる奴

おとうとが食べられたけど泣かないよ

目からうろこ剥がれて姉は魚（うを）でした

あまだれやよだれみみだれ だれ なざれ

空に字の読めぬ私も裁きの日

おおきなおしりさよならも言わずにだ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（TEXT BY　前島鵞朝）