俳句欄


「Summer in the city」20句


跳び越えて踏切の揺れいつまでも

金網を突き抜けダリアの首戦(そよ)ぐ

偶然の場所で撫で斬る薄かな

夏の手前廊下に寝てる人がいます

部室前切り過ぎの髪写真にと

靴洗い終えこの星の最後の日

タオルかと思えば猫の腹震え

浴槽を花で埋めて死霊ごっこ

線路の脇の錆びた窓からサザエさん

モニターの爆煙よ幾度目かのさらば青春

ひとすじの煙となりぬ愛煙家

薄荷入り煙草の匂ふ祖父の部屋

茅屋の蝿帳に降る光の矢

木洩れ陽がきみの寝顔に散る真夏

やがて大乱ガソリンスタンド池となる

残照のラブホの壁に大糸瓜

祖父霊となり我を抱く南風

不機嫌でいたい日もあり沈丁花

眠れ怪物闇こそ宇宙なのだから

夜みずをのむ箱庭の椿の木

TEXT BY 前島篤志


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